とあるカワウソのつぶやき。

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【四月は君の嘘】第20話 感想「あんたは私と恋をするしかないの」

四月は君の嘘 第20話「手と手」感想。結末を知ってから書いているので、ネタバレ注意。椿の「ひっちょ」はフラグ。

過去と今とをつなぐレモネード

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小さな頃、風邪を引いてしまった椿にレモネードを買ってあげる公生。「椿はゴリラじゃないよ 女のコだよ」なんて小さな頃から優しいんだから。

母親に捨てられてしまったチェルシーを探し、びしょ濡れになってしまった公生に、レモネードをあげる椿。「僕は母親の作った心のない人形なんだ」と思い悩む彼にかけた言葉が優しい。

「公生にはちゃんと心がある ただ隠すのが上手になっただけ 自分でも見つけられないくらいに」
「だから私が見つけてあげる」
「ずっとそばにいてあげる」

公生が椿が辛いときにそばにいてくれたように、椿もまた、公生のそばにいた。小さな頃から積み上げた時間は、他の人は敵わない。お互いのことを相手よりも知っているくらいだ。

この頃なら、どう考えても椿ルートなんだけどなあ…。公生が初めて演奏会に出たときも椿のために弾いてたし。お互いのことを想いあっていたのになあ。

公生はかをちゃんが好きなんだよ

病院へ定期連絡をしに行こうとする公生と一緒に帰る椿。お見舞いに行く渡の姿を見かけて、逃げるように「帰ろう」と椿に促す。

突然の雨に、駄菓子屋さんの軒下で雨宿り。好きな男の子と雨宿りなんて青春シチュエーション真っ只中。お互い好き同士なら美しいのに。なんだかなあ。

レモネードを手に、たわいもない会話を交わすふたり。椿のハンカチを見て「椿は女の子みたいだ」とつぶやく公生。とりあえず椿のこと女の子扱いしとけばいいわけじゃないんだぞ!椿は、公生から本当に女の子と意識されたことがないって気付いてる。

「いやだったんでしょ かをちゃんのとこ行くの 渡がいたから」

椿は直球で切り出す。公生は「そんなんじゃないよ」と否定するけれど、椿の勢いは止まらない。

「違うよ 公生はイヤなんだ かをちゃんと渡が笑ってるのが 見てるのが辛いんだ」
「公生はかをちゃんが好きなんだよ」

公生以上に、公生の気持ちを分かってる椿。この台詞、公生に言ってるようで、自分にも返ってくるブーメランのようだ。椿に同じような台詞を言うとしたら、「椿はイヤなんだ かをちゃんと公生が笑ってるのが 見てるのが辛いんだ」ってところだろうか。

「うん」とあっさり公生はかをりが好きなのを認める。ふぁーーー。

「ばっかじゃないの‥‥」
「かをちゃんは渡が好きなの」

「あんたは私と恋をするしかないの」

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椿渾身の告白だァーッ!ついに言った!ついに言ったぞ!公生の足を蹴飛ばし、雨の中走る椿。椿の時間は、動き出したばかりだ。これぞ青春。

君に会いたいんだ

椿の言葉を受けて、公生はピアノの練習中も上の空。椿の言葉が効いてる、効いてる。東日本ピアノコンクールの本選が控えてるから、このままじゃマズイけれど。

追い打ちをかけられるように、「もう病院来なくていいから」とかをりから一方的に定期連絡を打ち切られる。おおう、不憫な……。電話が切れたと思ったら、再びかをりからの着信。

「見て見て 飛行機が飛んでる 夜間飛行だ」

公生が空を見上げると、飛ぶ飛行機。離れていても、空は繋がっている。心も繋がっている。たわいもない会話で、心が躍る。

「また病院に行くよ」
「だからいいってば そんなヒマないでしょ」
「ヒマとかじゃないよ 君に会いたいんだ」

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もうこれ、告白でしょうよ。公生の精一杯の告白でしょうよ。

「こういう感情を何て呼んだかな こういう気持ちをなんて言ったかな 」
「これはたぶん 恋と呼ぶんだ これはきっと 恋と言うんだ」

かをりへの気持ちを「憧れ」だと思い込んで、自分に嘘をついていた公生が、恋心をついに自覚した。長い長い時間をかけて、いろんなことを経験して、やっと自覚したかをりへの恋心。

……椿のことなんて1ミリくらいしか考えてないんじゃないか。椿を思うと、胸が痛くなる。

僕は宮園さんがとても好きだよ

かをりの入院する病院の階段を、渡とともに上がる公生。

「ねえ渡 僕は宮園さんがとても好きだよ」

公生の渡への宣戦布告!ただの「好き」じゃなくて「とても好き」なところがたまんないですね。

公生がずっと、ずっとごまかしてた気持ちは、とっても、とっても大きなもの。自分の人生をカラフルにしてくれた、たくさんのことを教えてくれたかをりへの気持ちは、大きく膨れ上がってる。

「ばか 知ってるよ」

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渡の返しもめっちゃいいよねえ。渡は公生の恋心も、かをりの恋心も実はちゃんと分かってるっていうね。軽薄なように見えて、イケメンなキャラですよ、彼は。


かをりの部屋の前に行くと、容体が急変したようす。手すりから、力なく滑り落ちるかをりの手。ふたりは、看護師さんに帰るように促される。ヒステリックになるのはやりすぎじゃないかと思うけれど、一二を争う状況だったら仕方ないか。

手と手

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病院からの帰り道、公生は車に轢かれた黒猫を見かける。「黒猫」は「宮園かをり」のメタファーとして何度も物語中で使われている。公生自身も猫とかをりを重ねていて、轢かれた猫と、倒れたかをりがどうしてもダブる。

動物病院に黒猫を連れていってあげるものの、間に合わず息を引き取る。「大丈夫かい」と聞かれたときの公生の顔が全然大丈夫そうじゃない……。見てるこっちまで辛くなっちゃう。

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かをりの弓を持つ手、かをりが引いてくれた手、合わせてくれた手。それらを力なく滑り落ちた彼女の手と、血だらけの自分の手と重ねてしまう。

嗚咽を漏らし、膝から崩れ落ちる公生の姿で20話は終了。恋心を自覚したと思いきや、急転直下でかをりの容体が悪化するという。残り2話、物語はフィナーレへと着実に進んでいく。

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