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とあるカワウソのつぶやき。

四月は君の嘘が大好きなカワウソ。好きな漫画やアニメについて語るブログです。

『砕け散るところを見せてあげる』結局、最後の一文ってどういうことなの?

本の感想
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浅野いにおさんのイラストが表紙の『砕け散るところを見せてあげる』。そのイラストの美しさと、タイトル、帯に惹かれて思わず手に取ってしまいました。

作者の竹宮ゆゆこさんは『とらドラ!』や『ゴールデンタイム』で有名。恥ずかしながら、両方ともまだ未読、アニメも未視聴なんて、口が裂けても言えない…。とらドラは各方面から「泣ける」との評判を聞いてます。そのうち見る。

以下、『砕け散るところを見せてあげる』のあらすじと感想。ネタバレ込なので、未読な方は戻るボタンを!

受験を控えた男子高校生、濱田清澄は、とある日の全校集会で一年生の女の子、倉本玻璃がいじめられているのを目にする。彼女を助けてあげる清澄。だが、助けたはずの彼女は「あああああああ!」と奇声を発して去っていく。

いや、なんでやねん。清澄くん報われねえな…なんて思っていた訳ですけれども。この描写、後から効いてくる伏線だったの分かるのは、ずいずいっと読み進めてからのこと。

ほんとは可愛らしい玻璃と清澄の微笑ましいやり取りを楽しんでいたのですが、彼女が語る「UFO」が物語に暗い影を落とす。冒頭の一文でも登場していたUFOとは何なのか。


「つまり、UFOが撃ち落とされたせいで死んだのは二人」

UFOとは何なのか。物語が進むなかで明かされるUFOの正体。それは、玻璃を虐待し、過去には彼女の祖母と母を殺していた父親だ。彼は玻璃によって撃ち落とされることとなる。

ただ、そうすると死者の数が合わない。作中、指で指し示された人物は以下の通り。

親指→玻璃の父
人差し指→玻璃の祖母
中指→玻璃の母
薬指→清澄
小指→玻璃

この中で、UFOが撃ち落とされたせいで死んだのは、親指と薬指。玻璃の父と清澄ということになるのだが…。清澄は生きていたはずだし、どういうこと?

玻璃が父親を殺してしまった事件の後、清澄の父親が病院にかけつけて、頭に「?」が浮かんだ人が多いんじゃなかろうか。僕も初読じゃ騙された。この小説、物語の語り部が途中から変わってる。

5P〜20P→清澄と玻璃の息子
21P〜300P→清澄
301P〜309P→玻璃
310〜311P→清澄と玻璃の息子


語り部によって、「お父さん」「お母さん」が指し示す人物はそれぞれ違うんだなと。一読して物語の構造に気づけた人は、相当の本読みと見た。書き出してみてやっと分かったよ。

実は、UFOは二つあったと。二つ目のUFOは、一つ目を撃ち堕とした時に生まれた。そのUFOは玻璃の命を燃料にしているそう。玻璃を本当の意味で救えなかった、ヒーローになれなかった清澄の後悔じゃないだろうか。

清澄は、息子が生まれる間近に、川に落ちた車に乗った人々を助けた。彼は死んでしまったけれど、誰かのために事を成すヒーローになれた。その瞬間、二つ目のUFOは撃ち落とされたのだと。清澄が撃ち落としたという表現のほうが正しいか。

「最後の一文、その意味を理解したとき、あなたは絶対、涙する。」

最後の一文の意味とは。清澄の想いが、玻璃に伝わり、脈々と息子にも受け継がれている。きっと、息子も家族ができたならその想いを、愛を子に伝えていくのだろう。愛には終わりがないと信じている息子の存在こそ、かけがえのないものなのだ。

最後の一文の意味を自分なりに解釈できたときに、涙するというよりは、「見事!」と素直に思ってしまった自分がいる。久々に物語に夢中になれたかも。

砕け散るところを見せてあげる (新潮文庫nex)
とらドラ!(電撃文庫)
ゴールデンタイム(電撃文庫)

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