【冴えない彼女の育てかた】10巻は詩羽先輩がメイン！サークルの合宿に現れたのはなんと…
冴えない彼女の育てかた 10巻（実質11巻）が発売！
しれっとアニメ2期のネタバレをこそっとしていたり、いつかの巻の冒頭をそのまま持ってきたり、既刊の宣伝したりと、相変わらずの筆致に安心しました。
10巻は、サークルを離れたはずの英梨々、詩羽先輩をも巻き込んでの合宿編！やっぱり、合宿といえば期待してしまいますよね。
ほら、海辺ではしゃぐヒロインたちとか、旅館でのあれこれとか、夜にふたりっきりになってしまうイベントとか。
…そんな淡い期待を、見事に打ち破ってくれたよね。合宿先へ行くまでの道中は、あれだけ各ヒロインといちゃいちゃしておいて。このあとも、こんな感じで楽しく続くんだろうなと思っていたのに。
突然現れるんだもの。稀代のモンスタークリエイター、紅坂朱音女史が。楽しいはずだった合宿を、ぶっ壊す。
紅坂朱音による鬼のようなダメ出し
移動の疲れから眠っていた英梨々と詩羽先輩を叩き起こし、彼女たちが作り上げた作品にフィードバック、もといダメ出しを始める。ダメ出しなんて言葉で形容できるほど生半可なもんじゃないけれど。
英梨々はなんとか耐えたものの、詩羽先輩は…。自分の書いたシナリオをけちょんけちょんにけなされて、打ちひしがれ、自信を失ってしまう。いつも自信満々で、安芸くんをからかう彼女の姿は、もうない。
英梨々と詩羽先輩は、合宿を途中で切り上げ、帰宅することに。彼女が安芸くんに見せた弱さを見るのがつらい。
「あなたが望む、神様でいられなくなって、ごめんね？」
普段の彼女からは想像もできない、儚げな姿に心を打たれる。このギャップは反則だよ…。
電車の中で、こらえきれずに涙を流す詩羽先輩の姿が、胸にくる。でも、彼女はひとりじゃない。かつては詩羽先輩に寄り添ってもらった英梨々が、今度は彼女を支える。
いがみ合っているように見えて、芯ではクリエイター同士繋がっているんだなって。
安芸倫也の選ぶ道は
残された面々で合宿はダイジェストで進み…。ダイジェストの中身をGirls Side3とかで詳細に描いてくれてもいいんですよ、丸戸先生！
合宿中も、合宿を終えても、安芸くんが気がかりなのは詩羽先輩のこと。彼女を復活させるために、彼が選んだ道は。
霞ヶ丘詩羽をメインヒロインに据えたシナリオを書くこと。かつて詩羽先輩が言っていたことだ。彼女との出会い、今までの思い出をありったけ込めて。時には激しく、時には甘く。
現実のなかに、時折フィクションを織り交ぜて。安芸くんの妄想が爆発したメインヒロインの完成だよ！
サークルのメンバーの協力も得て、ゲームの形になったシナリオをプレイする詩羽先輩。プレイし終えた彼女が放ったのは。
「私は、このシナリオを、許さないっ」
ゲームのメインヒロインは確かに、詩羽先輩がモデルではある。けれど、彼女とヒロインは似て非なるものなのだ。霞ヶ丘詩羽は天才で、女神で、そしてクリエイター。主人公の力などなくとも、自らの力で進んでいける。
そんな強い彼女が、そのままでゲームのヒロインたる訳がないのだ。
「私は、このヒロインを、認められない」
詩羽先輩の無常な言葉が安芸くんに突き刺さる。安芸くんと、彼女のクリエイターとしての決別。一度は同じ方向を向いていたのに。それでも、道は違えど、ふたりは進んでいく。
いつもの詩羽先輩が戻ってきた！？
エピローグの夏コミ当日、紅坂朱音の口から聞かされる詩羽先輩のようすから、彼女らしさが戻ったというか、強化されたように見えるのは、きっと気のせいじゃない。
彼女を奮起させ、すさまじいシナリオを書き上げさせた原動力は、間違いなく安芸くんのシナリオで。
彼が本物のクリエイターなのか、単なるオタサーの王子なのか。それはこれからの物語のなかで明らかになっていくのだろう。
10巻ラストで紅坂朱音が見せたクリエイターとしての姿勢に、どれだけ貪欲なんだよと。才能があるうえに、努力も惜しまない。
高みを目指し続ける化物。きっとこれからも、物語に絡み続けるであろう彼女からも、目が離せない。
冴えカノはゆったりとヒロインたちとのいちゃいちゃを楽しむのもいいんですけど、クリエイターとしての矜持が見え隠れしてるのも魅力のひとつなのかなと。
今回はクリエイター成分多めだったので、次巻はいちゃいちゃ成分多めでお願いします（懇願）
（追記）
冴えカノ待望の11巻が、11月19日（土）に決定した模様！あらすじから、安芸くんの恵ちゃんへの気持ちに変化がありそうなようす。どうなっちゃうんだろうか！
