映画『聲の形』感想「硝子と将也が心を通わせていく姿がせつなく、愛おしい」
映画『聲の形』を朝イチの回で鑑賞。もともと原作は読んでいて、どう映像化するのかは気になっていたのですが、僕の想像をはるかに超えてきました。
聴覚障害をもつヒロイン・西宮硝子役の早見沙織さんの演技が凄かった。
彼女が発するセリフはそれほど多くないのですが、懸命に声を伝えようとする硝子の想いが伝わってきた。早見沙織さんの演技に、しみじみと涙が流れる。
以下、物語を振り返りつつ感想を綴っていきます。
辛い描写が続く小学生時代
前半の小学生時代の話はただただ、胸が痛くなってしまう。転校生として、最初は歓迎されていた硝子が無視され、いじめられるようになる過程を見るのは本当に辛かった。
何度拒否されても「友達になろう」と手話で語りかける硝子を、拒否する将也を見るのも切ない。自業自得とはいえ、今度は自身がいじめられるようになり、孤立する将也の姿を見るのも辛い。
辛い小学生時代の描写を終えて、偶然、再会する硝子と将也のシーンは心にグッときた。
今度は「友達になれるかな?」と将也のほうから手話で伝えるわけですよ。5年のときを超えて、ふたたび交わったふたり。
将也の手話を見て涙する硝子に、ただただ感動。
心を通わせていく硝子と将也
毎週火曜日、橋の上から鯉に餌を一緒にあげてみたり。小学生の同級生・佐原さんを探してみたり。猫のポーチをプレゼントしてあげたり。
硝子のために、行動する将也に心惹かれていく。
硝子が普段とは違うポニーテールにして、ちゃんと「好き」と想いを伝えているのに、将也に伝わらないもどかしさよ…。
将也の鈍感!馬鹿!!何が「月」じゃ!!!と彼ををなじる気持ちがとまらない。
家に帰ったあと、足をじたばたして照れる硝子、可愛すぎかっ!
嗚呼、すれちがい
永束くん、佐原さん、植野、川井さん、真柴くん、結絃との交流を通して、どんどん広がっていくふたりの世界。永束くん、マジいい奴大好き。
順調にいっていたように見えたみんなとの関係も、川井さんが将也の過去を暴露したことによって、少しずつ崩れていく。せっかく仲良くなれたのに…。
みんなとはすれ違ったまま、迎えた花火大会の日。
結絃と母親が、将也と硝子ふたりだけにしたのは気が利きすぎですな。でも、まだ途中なのに、硝子は勉強があるからと先に帰ってしまう。
別れ際、「またな」と伝える将也に「ありがとう」と返すんですよね、このときは。いつもは「またね」なのに…。何かおかしい…。
カメラを取りに西宮家を訪れた将也が目にしたのは、今にも飛び降りようとする硝子の姿。必死で飛び降りるのを止めようとする将也。
いつもは「西宮」呼びなのに、唯一「硝子!!!」と叫ぶ将也の姿に胸が熱くなる。
なんとか硝子を引き上げたものの、代わりに将也が落ちてしまう。下は川とはいえ、無事じゃすまなさそう…。死なないで、将也…。
君に生きるのを手伝ってほしい
夢の中で別れを告げる将也の姿を見て、いてもたってもいられない硝子は、家を飛び出す。一緒に鯉に餌をあげた橋。みんなで集まった橋。いつもの火曜日。
探せども探せども、将也はいない。涙を流し、へたりこんでしまう硝子。目覚めるのは今しかないってタイミングで、将也が目覚める。きたきた、ついにきたっ!
再会していちばんに、幽霊じゃないことを確かめる硝子が可愛い。指でツンと将也を突くなんてほんと可愛い。
昔のことや、そのあとのことについても「ごめん」と伝える将也。自分の都合のいいように硝子の声を解釈していたと。そんなことはないのに。すれ違っていただけなのに。
「君に生きるのを手伝ってほしい」
もう、盛大な告白といっていいのでは。伝えたあとに恥ずかしくなっちゃう将也を見て、こっちまでこっぱずかしくなっちゃうよ。
時は流れて、文化祭の日。どうしても下を向いてしまう将也の手を引く硝子の優しさよ。ニヤニヤしっぱなしですよ、まったく。
ひどいことを言ってしまったみんなに謝り、一緒に文化祭を楽しむ将也。周りの人たちの顔に貼られた×印が剥がれ、彼の笑顔でフィナーレ。
ああ、これからきっとふたりは不器用なりにも、お互いを想い合って生きていくんだろうなとしみじみ感じています。
ぜひ原作を読んで欲しい一作
原作未読でも、もちろん楽しめるつくりになっていますが、原作を読むと、さらに物語を理解できると思います。
手話や硝子のセリフはちと初見じゃ難しいかもしれないなと感じました。
尺の都合により削らざるをえなかったエピソードもありますし、ぜひまだ未読の人は原作に触れてほしい。
将也や硝子はもちろん、他のキャラクターも、もっと好きになれるはず。僕もまた読み返そうっと。
(記事中の画像は映画『聲の形』 ロングPVから引用しました)