とあるカワウソのつぶやき。

四月は君の嘘が大好きなカワウソ。好きな漫画やアニメについて語るブログです。

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『珈琲店タレーランの事件簿』5巻はアオヤマさんの過去の淡い想いが明かされる。

1年9ヶ月ぶりに、タレーランの新刊が発売になりました。巻を重ねても、アオヤマさんの「んぐぁ」は健在です。

思えば、1巻と出会ったのはもう4年も前になりますか。美星さんとアオヤマさん、藻川さんたちが繰り広げる物語に惹かれ、「読み終わりたくないなあ」と惜しみながら読んでいたのを思い出します。

それから時は流れ流れて、ずいぶんと京都の地名に詳しくなった今読むタレーランは、また一段と魅力的な物語に感じるのです。

5巻は、アオヤマさんの中学生時代の淡い想いが明かされる。当時の想い人である眞子さんとの再会から、物語は動き出す。

彼が理想のコーヒーを探すきっかけになった眞子さん。快活で、それでいてどこか儚げな雰囲気で。思春期に、そんな魅力的な年上の女性に出会っていたら、そりゃあ惹かれても仕方ない。年上のお姉さんは、好きですか?僕は好きです。

さてさて、だいぶ話がずれてしまいました…。感想を続けます。

第一章では、かつてはぼっちだったアオヤマさんの昔話に花が咲く。十一年ごしに明かされた謎に、ほっこりしたものです。ほっこりしたのもつかの間、最後の一文に度肝を抜かれてしまうというね。


「あなたがこの手紙を読んでいるころ、私はもうこの世にいないでしょう。」そのフレーズが、ふたりの再会がすんなり終わらないことを告げている。

そんな一文書かれたら、続きが気になって仕方ないでしょうに!週末のまとまった時間に読もうと、いったんは封印したんですよ。ただ、結局我慢できずに、第二章を読み進め、あれよあれよと巻末までたどり着いてしまいました。

物語の鍵を握るのは、『源氏物語』。日本人なら一度は学校の授業などで、触れたことのある名作でしょう。きっと、源氏物語に造詣が深い人なら、今作に使われたトリックにすぐ気づけたのではなかろうか。

僕自身は、学校で習った程度で、すんなりミスリードにひっかかってしまう体たらく。いや、むしろ狙い通りというべきか。明かされた眞子さんの秘密は、悲しく切ないものでした。

眞子さんが、素敵なお嫁さんになれることを、切に願う。物語の終盤、吹っ切れたように新しい人生を歩み始めた彼女なら、きっと幸せな未来を掴めると信じている。そうでなきゃ、救いがなさすぎる!

そして、ヘタレなアオヤマさんと、美星さんの距離もぐっと近づく訳ですよ。

聡明な美星さんなら、アオヤマさんが眞子さんに抱いていた淡い恋心に気づかない訳がない。気付いたうえで、嫉妬しちゃう自分を恥じる美星さんが可愛すぎて。たまりませんなあ!

もうおしどり夫婦になっちゃいなよ!ひゅーひゅー!この巻で終わりと聞いても、疑問がないくらい綺麗な幕切れでした。

もっと謎を持ち込むアオヤマさんと、その謎を解く美星さんの姿を見たい気はするけれど。作中でアオヤマさんが語った源氏物語のラストへの解釈は、タレーランの物語にも当てはまるのかもしれないなあと。

一読者には、本当のところなんて分かりはしません。またいつの日かしれっと続編が出ることもあるでしょう。

どちらにせよ、5巻を読んで、既刊を読み返したい気持ちがむくむくと湧いてきたので、懐かしの1巻に立ち戻ってみたいと思います。

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