【僕だけがいない街】9巻の感想!「雛月、賢也、佐知子、愛梨の視点から描かれる外伝!」
僕だけがいない街 9巻が発売です。アニメが放映されていたのが、もう1年も前。
続きが気になりすぎて、原作を一気に揃えたのも良い思い出。アニメと原作で展開は違っていましたが、うまく絡めて締めたのではないかなと。
さて、9巻は本編終了後に連載された外伝『僕だけがいない街Re』が収録!
雛月、賢也、佐知子、愛梨たちの視点で紡がれる物語。どのエピソードも、落涙必至。僕街ファンなら、買わない手はないっ!
表紙と裏表紙がもう、反則ですよね。手を四角にして、のぞき込む愛梨。その先には…。最終回を思い出さずにはいられない。
以下、三部先生自身が描いた『僕街』公式外伝の感想です。
雛月が踏み出した「明るい未来」
外伝のトップバッターを務めるのは、雛月加代。冒頭の「バカなの?」が懐かしすぎる。彼女を助けるために、悟がリバイバルを繰り返し奮闘した姿が目に浮かぶ。
てっきり悟とくっつくものだと思ってたから、子供連れで現れたときは、びっくらこいたよね…。
ただ、NTRとか言うのは無粋なもんですよ。だって、悟が昏睡してるとき、佐知子と同じくらいそばにいてくれたのは、雛月なんだから。
悟との突然の別れを経て、雛月が明るい未来を選んだからこそ、悟が記憶を取り戻すきっかけになった訳で。雛月と悟の思い出の地である"あの場所"から、一歩を踏み出すのにグッとくる。
賢也の「覚悟」
外伝のなかで唯一、前後編2話を使って描かれた賢也のお話。たまにいるよね、悟と出会う前の賢也みたいな子。
周りと自分は違うと思って、斜に構えちゃうみたいな。だからこそ、アジトでの仲間との触れ合いを通して、成長していく姿がたまらない。
賢也編では、多くの僕街ファンが知りたかったであろう、賢也から見た悟への想いが掘り下げられているのがいいですよね。
雛月のことを気づいていながら、何もしなかった自分と、踏み込んでいった悟と。ガツンと頭を殴られたような感覚だったろうな。
悟の覚悟に感化されて、仲間の良いところを吸収してどんどん成長していく賢也。何人の人に影響を及ぼすのか。まじでヒーローだよ、悟さん。
賢也もそうだけど、彼の父・母も両方とも素晴らしい人物だ。
我が子を信頼し、道を示す父。息子に不自由ない暮らしをさせるために質素な身なりを続けた母。この両親にして、この子あり。賢也を健やかに育て、見守ってくれてありがとうと言いたい。
佐知子の大きな「愛」
悟の一番の理解者であり、愛情を彼に注いできた藤沼佐知子の物語。形は違えど、佐知子もむかし、同級生を救ってると知ってほっこり。覚悟は遺伝するものなのかもね。
佐知子の日記をもとに、振り返る僕街の物語。佐知子がどれだけ、一人息子の悟を愛し、見守っていたのかがすごくわかる。偉大な母の愛。雛月を助けようとする悟の覚悟にも寄り添い、手助けもしてくれた。
何にも本気になれなかった悟。彼が初めて見せた覚悟に涙する佐知子につられ、涙がぽろり。かつては悲しい涙だったけれど、今回は違う。佐知子が流したふたつの涙に、乾杯。
愛梨の視点から見る最終回
外伝のトリを飾るのは愛梨。感動的な再会を果たした最終回の裏側で、何があったのか。どうして悟と愛梨がまた出会うことができたのか。
時が流れ流れて、写真の道に進んだ愛梨は、どうも停滞中のようで。まさか初っ端から辛い展開だとは…。
まあ、それものちにつながる伏線なんですけど。それにしても、表紙の愛梨の姿勢、たまんねえな!フェチい!フェチいよ!
ゆっくりゆっくり丁寧に描かれる悟を見つけるまでの過程。やっぱり愛梨可愛すぎません?誰もいないところに呼びかける姿にやられる。悟じゃなくても、恋に落ちるわ。愛梨の笑顔、優勝!
ふたりがどんな未来を紡ぐのでしょうか。人気漫画家と写真家って、なんだか素敵な組み合わせ。
意気投合して、すぐ仲良くなっちゃうんじゃないかな。世界が変わったって、記憶がなくたって、ふたりが過ごした時間は、なくなったりしないもの。
また本編を読みたい気持ちがむくむくと。
外伝を読んでからだと、あのシーンで、あのキャラはどう思っていたのかと、また違った視点で読めそうで。くぅ〜!三部先生、僕街ロスを埋めてくれて、ありがとうございます!
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