映画『3月のライオン』後編の感想。誰も知らない感動のラストへ!原作がより楽しみに!
『3月のライオン』後半を観終えました。前半、後半ともに素晴らしかった。3月のライオンのファンで良かった。このキャストのみなさんで、実写化してもらえて良かった。
ただただ「良かった」と噛みしめるように感じています。原作のエピソードから、誰も知らないラストへ。漫画原作の実写化としては、屈指の名作になったのではないか。
原作ファンには絶対に見て欲しい。映画から入った人には、ぜひ原作を読んで欲しい。3月のライオンという作品の魅力が詰まりに詰まった作品です!
vs宗谷戦
新人王となった零くんが向かうは、宗谷名人との記念対局。学校で表彰されてる姿が気の毒で…。絶対大勢の前に立つのとか苦手そうなのに。
原作同様、宗谷名人の強さ・不気味さが伝わってきたのではないかと。ワインをかけられても動じない。
宗谷戦の前に、幸田さんが零くんを激励するのは、映画オリジナル。「目の前にいるのは人間だ」と気負うことなく戦えというメッセージ。良いお父さんじゃないですか。
将棋の父としては、申し分ないんだけどなあ…幸田さん。香子や歩にも他の道を示してあげられていたなら…。
ひなちゃんのいじめ問題
見たかったエピソードのひとつ。デリケートな話題だけに、どう描くのか気になっていたところです。
ひなちゃんやちほちゃん、そして過去の零くんがいじめられているのを見るのは、正直辛かった。漫画と違って、実写だとよりリアルで、その残酷さが増しているような。
「後悔なんてしないっっ しちゃダメだっ だって 私のした事はぜったい まちがってなんかない!!」
「ありがとう 君はぼくの恩人だ」
「約束するよ 僕がついてる」
「一生かかってでも 僕は 君に恩を返すよ」
このやりとりがやっぱり胸にくる。辛い経験のなかで、自分の選択が間違ってないと言い切れるひなちゃんの強さ。時を超えて、彼女の言葉が零くんを救う。
原作に比べると、あっさりいじめ問題が解決した印象を受ける。もちろん印象よりずっと見えないところでたくさんの配慮があったことだろう。
尺の都合か、三者面談のシーンはカット。国分先生の証拠に関するセリフは聞きたかったなあ。女性教師の壊れっぷりは原作超えてたよ。阿鼻叫喚っぷりが凄まじい。
お祭りのシーンで、ちほちゃんの梅シロップがちゃんと登場していたのは見逃しておりません。原作既読の人だけが気づけるグッとくるポイントではなかろうか。
クズ親父登場
3月のライオンの登場人物のなかで、どうしようもなく救えないクズが一人。甘麻井戸誠二郎。
他の女と子供を作って、妻子を捨てたクズ親父。クズ中のクズ。伊勢谷さんの演技がハマりすぎてて、なぜかテンションが上がってしまう。
クズっぷりと小物っぷりが同居する演技に、ため息しか出ない。誠二郎そのもの。
ただ、どんなにクズでも、娘たちの前で"人間のクズ"扱いする零くんはちょっとやりすぎた感じ。守りたい気持ちが強いあまり、暴走してしまったか。
父との別れは、姉妹3人で決めたこと。あかりさんのビンタはシビれるぅ。三者三様、誠二郎に別れの言葉を告げて、さようなら。
後藤と因縁の対決!
後編のクライマックス!獅子王戦決勝、因縁の後藤との対決。
最愛の妻との別れを経て、将棋だけに集中した後藤と、本当の家族が亡くなり、家族のように接していた川本家を離れ、独りになった零くんと。
ともに、将棋しかないもの同士のアツい戦いが幕を開ける。
窮地に立たされ、ガシガシと頭を叩く零くん。どん底でも、ボロボロでも、指さなきゃいけない。だって、将棋に全てを懸けたプロの棋士だもの。
ただし、零くんは、一人なんかじゃない。川本家の人々、二海堂、島田さん、幸田さん、将棋でお世話になった人たち。零くんは、みんなに支えられて今ここにいる。
どうなる?どっちが勝つ?と手に汗握りながら、対局の行方を見守っていた。涙を流す零くんを見て、もうダメなんじゃないかと。
結果は、零くんの大逆転勝利!やったあああああ!ついに宗谷名人とのタイトル戦だ!
負けた後藤のすがすがしい顔が心に残ってる。憑き物が落ちたような。因縁の相手とはいえ、負け際は天晴れ。
誰も知らない感動のラストへ!
後藤との対局を終えて、駆け出した零くんが向かったのは、もちろん川本家!
謝罪を受け入れ、また家に迎え入れてくれる優しさに泣いた。あったけえ、あったけえよ…。
着物の試着をしているとき将棋を「好きです」と答える零くんにも涙。
嘘から始まった将棋だったけれども、今となってはちゃんと好きって言えるようになったんだと。好きに勝さるものはないですよ、ほんとに。
零くんが歩を誘うシーンで、また涙がポロポロ。過去回想のシーンはこのための伏線か。将棋をきっかけに失った家族との絆を取り戻すのは、また将棋で。
幸田さんが香子に諦めるなと諭すシーンも将棋の盤面から。
いや、それはもっと早く言ってあげればよかったのでは…と突っ込まずにはいられないけれども。まあ自分で気づけなければプロにはなれないという厳しさだったのかもしれない。
獅子王のタイトルをかけた戦いで、宗谷名人と零くんが向き合って、終幕。ちゃんとひなちゃんからもらったマスコットを大事に持ってたのがアツい!良かった…ごみとして捨てられてないで…。
原作の"これから"
映画で迎えた3月のライオンのひとつの終わり。ありえたかもしれない結末。
"映画には、当初予定していた最終回をそのまま提供しました"と羽海野チカ先生は、後編のパンフレットのなかで語っている。かつ、今後の展開を示唆するコメントもあり!
まだまだ先のことなのに、ワクワクが止まらない!これだけは、パンフレットを買って確かめてほしい。
羽海野チカ先生が今後、どんな物語を魅せてくれるのか。原作がより楽しみになる、3月のライオンファン冥利に尽きる映画でした。
この作品に出会えて良かった!ありがとう!
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