『よすがシナリオパレェド』1巻 感想。その日、少年は運命の扉を開く。
『よすがシナリオパレェド』は物語に魅せられた人なら、誰しもに刺さる作品だと思います。
物語を書く人が、物語を題材にした物語を紡ぐって、面白くならない訳がないんだよな…!
原作は『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』『レンタルマギカ』の三田誠さん。作画は『コントラスト88』の川﨑宙さんです。
物語を題材にしているということで、三田先生の経験や、身近にいる人たちにまつわるエピソードが盛り込まれているのは想像に難くない。
フィクションだけど、もしかしたら現実にもあり得るかもしれないと感じさせてくれるクリエイターものです!
あらすじ
主人公の桜橋由字は、物語全般を受け付けない"物語恐怖症"の少年。
そんな彼が偶然選んだバイト先の『シェヘラザード』は喫茶店兼シナリオライター事務所だった。
一歩足を踏み入れた瞬間、天才美少女シナリオライター・明神よすがと出会い、由字の物語は動き出していく…!
物語が苦手な少年が、物語を生み出す人々のもとで、どんな物語を紡ぐのか。注目です。
個性あふれるキャラたち
魅力的な物語を生み出す人々は、個性あふれる人ばかり。
まずは『シェヘラザード』のオーナーにして、GOGのメインライターの明神よすが!人を夢中にさせる物語を描けるうえに、美少女だなんて…
天は二物を与えるとはこのことか。ちなみに、キャラにはそれぞれモデルがいるらしい。彼女の元になったのは奈須きのこさんなのでしょうか…?
続いて、バリスタ兼チーフライターの蓮条さん。普段は優しいが、ちらりとSっけをのぞかせるイケメン。
坂口さんは経理を担当するラノベ作家・ゲームデザイナー。とある大御所作家の言葉を受けて、スランプに陥ってしまう。それを救うのは…?
料理人・ラノベ作家の青ヶ峰さんに、パティシエ・漫画原作の切丸さん。この喫茶店、誰もが二足のわらじ履いておる。普通の喫茶店への擬態は完璧。
それぞれのキャラのモデルになった人が誰なのかを想像しながら読むのも、ひとつの楽しみかもしれないですね。
今のところ、僕自身はよすが=奈須きのこ説以外はさっぱりわからぬ。
世界は物語で満ちている
漫画、アニメ、ラノベ、ソシャゲなど、世の中は物語でいっぱいだ。大物語時代といっていいのかもしれない。
よすがシナリオパレェドでも、僕らが普段親しんでいるものによく似た作品が登場する。
特に同人ゲームから始まりアニメ・ソシャゲと進んでいったという『Gate Of Guardian』略してGOGは、Fateを思い出さずにはいられない。
名前入れ替えたら『Fate Grand ougia』までは作れるもんね。
さすがにすべてアナグラムではなかったか。orderとougiaがどことなく響きが似てる気がする。
天才しか…
1巻でいちばん刺さったのは「天才しか創作しちゃいけないわけじゃないだろうがっ!」です。
才能の赴くまま筆を進め、名作と呼ばれる作品を生み出す天才は、確かに存在するのだろう。だけど、そんな天才にしか物語が紡げないわけじゃない。
「物語を生み出す」という行為そのものは、誰しもに門戸が開かれている。
巷には一人の人生では読み切れないほどの物語で溢れていて、もしかしたら隣のあの人や、友達だって、物語を紡ぐ人なのかもしれない。
物書きや、物書きに憧れる人々の背中を押してくれる名言だ。いつか物語を紡いでみたいとさえ思ってしまう。
もしかしたら、この作品は新たな物語の書き手をも生み出していくのかもしれない。
おすすめしたい一作
よすがシナリオパレェドは、物語を愛する人にうってつけの作品です。これからどんな人が登場して、どんな物語が紡がれていくのか。楽しみで仕方ない。
また、この作品を気に入った人に、おすすめしたい一作があります!相沢沙呼さんの『小説の神様』です。
物語を紡ぐ意味を失った主人公の目の前に現れる、同い年の人気作家。ひょんなことから高校生にして作家の二人が出会い、合作をすることに。
小説家が小説を題材に物語を紡いだ作品で、よすがシナリオパレェドと通じるものがあります。
きっと、物語を好きな人ならどちらも楽しめると思うので、ぜひ手にとってみてほしいです。
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